
SaaSのオンボーディングに漫画を使うなら、機能を並べるのではなく、新規ユーザーが最初に達成する一つのタスクを主人公の行動として描きます。漫画は「なぜ・何をするか」をつかむ入口にし、最新の画面操作や細かな条件は実際の画面案内・ヘルプへつなぐと、内容の役割を分けやすくなります。
SaaSに登録した直後のユーザーは、すべての機能を知りたいとは限りません。まず何を設定し、どの操作をすれば自分の仕事に役立つのかが分からず、最初の行動を決められないことがあります。
オンボーディング漫画は、利用者の状況や操作する理由を短い場面で見せるコンテンツです。実際の操作を完全に置き換えるマニュアルではありません。漫画、プロダクト内の案内、ヘルプをそれぞれの役割に合わせて組み合わせます。
漫画を使う前に「最初の成功」を決める
最初に決めるのはページ数ではなく、ユーザーが初回にどんな状態になれば次へ進めるかです。たとえば、チーム管理ツールならメンバーを招待する、分析ツールなら最初のレポートを作るなど、サービスごとに意味のある行動は異なります。ログインや画面を開いたことだけを、利用価値を得た状態と同一視しないようにします。
社内のプロダクト担当者やカスタマーサクセス担当者に、初回設定で止まりやすい箇所、問い合わせで繰り返される質問、利用者が最初に完了すべき作業を確認します。顧客の利用状況を参照する場合は、集計・匿名化した情報を使い、個人情報を漫画の題材に持ち込まないようにします。
オンボーディング漫画を設計する5ステップ
1. 対象ユーザーと利用場面を一つに絞る
「新規ユーザー全員」ではなく、役割や利用目的を具体化します。例として「初めてプロジェクトを作る現場担当者」「招待された後、初期設定を進める管理者」などです。同じサービスでも、管理者と一般利用者では必要な案内が違うため、一本の漫画に詰め込まず対象を選びます。
2. 主人公が完了する行動を一つ決める
ストーリーのゴールを「サービスを理解する」のような抽象語だけにせず、ユーザーが実際に行えるタスクへ落とします。必要な情報や権限が手元にない利用者もいるため、前提条件がある場合は漫画の外でも確認できるようにします。
3. 迷いから次の一歩までを短く描く
次のような流れをたたき台にすると、機能説明だけの構成になりにくくなります。
- 状況:ユーザーが何をしようとしているか
- 迷い:最初に分からないこと、準備できていないこと
- 一つの行動:最初に行う設定や操作
- 確認:操作が完了したと分かる画面や状態
- 次の案内:続ける操作、ヘルプ、問い合わせ先
漫画内の成功例が、実際の仕様や利用条件と一致しているかをプロダクト担当者に確認します。架空の機能、実際には表示されない画面、すべての利用者に当てはまるような成果を描かないことが大切です。
4. 漫画と画面案内・ヘルプの役割を分ける
漫画では、利用者がなぜその操作をするのか、どの順番で進めるのかを伝えます。ボタン名、画面配置、入力形式など変更されやすい情報は、最新の画面案内やヘルプに置きます。漫画の各場面から「この設定を始める」「詳しい手順を見る」といった具体的なリンクを設け、読者を迷わせないようにします。
最初から長編を読ませる設計にせず、必要な場面だけ読める構成や、後から見直せるヘルプ一覧も検討します。文字だけで案内を済ませず、画像内のセリフや操作をテキストでも補えるようにし、読み上げや小さい画面での確認にも配慮します。
5. 案内を表示するタイミングと確認方法を決める
登録直後のメール、初回ログイン時の案内、ヘルプページなど、ユーザーが必要とする場所へ置きます。別の作業を始めている利用者を遮らないこと、いつでも閉じたり再表示できたりすることも確認します。どの場所が合うかはプロダクトや利用者によって異なるため、小さく公開して反応を確かめます。
目的と指標を対応させる
閲覧数だけでは、ユーザーが最初のタスクを完了したかは分かりません。漫画を見た後にどの案内へ進み、目的の行動を完了したかを、プロダクトのイベントやアクセス解析で追える範囲に設定します。
| 確認したい段階 | イベント例 | 見るポイント |
|---|---|---|
| 案内に接触 | オンボーディング漫画を表示 | どの利用者・画面で表示されたか |
| 次の手順へ移動 | 操作ガイドやヘルプへのクリック | 案内から目的の手順へ進めたか |
| 初回タスクを完了 | サービス固有の初回完了イベント | 対象ユーザーが定義した行動を完了したか |
| つまずきを把握 | ヘルプ表示、案内の再表示、問い合わせ | 補足が必要な箇所が残っていないか |
イベント名や計測条件はサービスの実装に合わせて定義してください。導入前後の数字が変わっても、漫画だけが原因とは限りません。対象ユーザー、利用時期、案内の表示条件をそろえて比較し、問い合わせ内容や利用者の声とあわせて次の修正箇所を判断します。
公開前のチェックリスト
- 対象ユーザーと、漫画を読むタイミングが明確になっている
- 初回に完了してほしい行動を一つに絞っている
- 漫画の内容が、現行の仕様・画面・利用条件と一致している
- 細かな操作や変更されやすい情報は、最新のヘルプへ分けている
- 各リンク先が有効で、次に何をするか分かる
- 画像内の情報を本文や代替テキストでも補っている
- 表示、リンク移動、初回タスク完了を区別して確認できる
- 利用者の声や問い合わせから、更新担当者が見直せる
よくある質問
オンボーディング漫画だけで操作説明を完結できますか?
画面の細かな操作や、権限・契約によって異なる条件まで漫画だけで説明するのは避けます。漫画で全体の流れと行動の理由を伝え、最新の操作手順はプロダクト内ガイドやヘルプに置くと、情報の更新先を分けられます。
何ページの漫画にすればよいですか?
一律の適正ページ数はありません。伝える初回タスクと、ユーザーが途中で判断する内容に合わせて決めます。まず一つの場面を短く試し、読む量や次の操作への移動を見ながら調整する方法があります。
漫画を導入すればオンボーディングの完了率は上がりますか?
結果はサービス、ユーザー、表示タイミング、既存の案内などに左右されるため、漫画だけで改善を保証することはできません。公開前に確認したい行動を定め、公開後のデータと利用者の声で判断してください。
まとめ
SaaSのオンボーディング漫画は、機能の一覧ではなく、利用者が最初に行う一つのタスクへ案内するために設計します。対象ユーザー、初回の行動、漫画とヘルプの役割、表示場所、確認指標を先に決め、実際の仕様と照合してから公開しましょう。
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