
企業FAQを漫画にするときは、質問をそのまま絵に置き換えるのではなく、問い合わせ記録から読者が迷う場面を選び、「状況→疑問→確認済みの答え→次の行動」の順に組み立てます。料金や条件など正確さが必要な情報は、漫画だけに閉じず、担当部署が承認した最新の案内ページにもつなぎます。
FAQすべてを漫画にする必要はない
一言で答えられる営業時間や連絡先などは、通常のFAQのほうが探しやすい場合があります。一方、手順の途中で迷う、条件によって答えが変わる、利用者が次に何をすればよいか分かりにくい質問は、場面と判断の流れを見せる漫画に向くことがあります。形式は「目立つか」ではなく、読者が必要な答えを正しく見つけられるかで選びましょう。
| 質問のタイプ | 向いている見せ方の例 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 日時・連絡先など短い事実 | 通常のFAQ、一覧表 | 答えをすぐ見つけられ、更新担当が明確か |
| 複数の手順や分岐がある | 手順図、画面案内、必要に応じて漫画 | 漫画以外にも最新の詳細手順を参照できるか |
| 利用場面や判断の背景が分かりにくい | 短いストーリー+確認済み回答 | 読者が自分の状況に当てはめ、次の行動を判断できるか |
| 契約・安全・法令など誤りの影響が大きい | 承認済みの公式説明を中心にし、補助表現として漫画を検討 | 所管担当者の確認と正式な根拠へのリンクがあるか |
問い合わせ記録から題材を選ぶ5ステップ
1. 質問を集め、個人情報を除いて整理する
問い合わせフォーム、サポート窓口、営業担当への質問などから、質問の文面と回答、発生した時期、関連する商品・手続きの区分を集めます。名前、メールアドレス、注文番号、個別案件の詳細は、企画資料へ移す前に取り除くか、個人や取引先を識別できない形に置き換えます。記録の共有範囲や社内ルールも確認してください。
表記の違う質問は、読者が解決したいことが同じなら同じテーマにまとめます。質問文だけでなく「どこで止まったのか」「何を誤解しやすいのか」「回答後にどんな操作が必要か」も整理すると、漫画で描く場面を考えやすくなります。
2. 繰り返しと誤解の影響で候補を比べる
問い合わせ件数だけを基準にせず、同じ質問が続いているか、回答の読み違いが次の手続きに影響するか、説明に複数の段階があるかを並べます。社内で合意した期間・分類で候補を比較し、漫画にする理由を説明できるテーマを一つ選びます。記録が少ない場合は、まず通常のFAQとして掲載し、利用者の反応を確認してから漫画化を検討する方法もあります。
料金、契約条件、利用資格、事故・安全に関わる内容は、件数や分かりやすさだけで決めず、担当部署が確定した根拠と表現できる範囲を先に確認します。制作側が回答を推測して補うのではなく、未確定事項は保留にして所管担当者へ戻します。
3. 一つの漫画で答える質問を一つに絞る
一話に複数の質問を詰め込むと、読者が自分の疑問に対応する答えを探しにくくなります。まず「読み終えた人に、何が分かり、次に何をしてほしいか」を一文で決めます。関連質問が複数ある場合は、主質問を一つ選び、詳細や例外は別のFAQ・案内ページへ分けます。
4. 場面・回答・根拠をつないでネームにする
- 状況:利用者が何をしようとして、どこで止まったのかを示す。
- 疑問:実際によくある迷いを、本人の言葉で短く表す。
- 確認:必要な条件や確認先を示し、思い込みで進めない場面を描く。
- 答え:承認済みの内容を、結論から簡潔に伝える。
- 次の行動:該当する手順、フォーム、詳細FAQなどの場所を案内する。
たとえば「外部の担当者と資料を共有したい」という質問なら、共有したい場面を見せたうえで、社内の権限設定や確認が必要な箇所を示し、最後は承認済みの設定手順へ案内します。実際の設定名や利用条件は企業ごとに異なるため、例の内容をそのまま自社の答えとして使わず、最新の正式資料に合わせてください。
5. 回答を確認して、更新できる形で公開する
公開前には、質問の担当部署が答えの正確さ、対象者、条件、例外、リンク先を確認します。漫画の中に更新されやすい価格や画面名を大量に固定せず、変更の多い詳細は公式ページに置き、漫画から該当箇所へ案内する方法も検討しましょう。漫画と公式説明が食い違った場合、読者がどちらを正とすべきか迷わないよう、掲載場所と更新責任者を決めます。
画像だけで答えを伝えきらず、要点をテキストでも読めるようにします。スマートフォンで文字が読めるか、読み順が自然か、リンクが押しやすいかも確認してください。画像の代替テキストやWeb掲載の確認点は、Webマンガのアクセシビリティチェックリストとマンガ画像のaltテキストの書き方も参考になります。
企画・確認に使えるFAQ漫画の整理表
| 項目 | 記入する内容 |
|---|---|
| 質問テーマ | 利用者が知りたいことを一文で記載。個人情報は含めない |
| 発生場面 | どの操作・判断・タイミングで迷いが起きるか |
| 漫画にする理由 | 手順、状況、判断の背景を見せる必要があるか |
| 回答の根拠 | 参照する規程、案内ページ、担当部署、承認日 |
| 読後の行動 | 読む人が次に開くページ、行う操作、相談先 |
| 更新管理 | 最終確認日、内容の担当者、変更時の連絡・改訂方法 |
公開後は「問い合わせが減った」と決めつけず確認する
公開後の閲覧数だけでは、読者が答えを見つけたかまでは分かりません。ページ内のFAQリンク利用、関連する検索語、同じ質問の問い合わせ内容、案内後に必要な手続きへ進めたかなど、目的に合う複数の手掛かりを確認します。集計期間や対象範囲をそろえ、漫画を公開しただけで問い合わせ削減や売上向上が起きたと断定しないでください。
回答やサービス内容が変わったときに誰が更新するかも決めておきます。漫画と正式な案内の更新方法については、漫画マニュアルの更新方法で整理しています。FAQ漫画の企画では、読者・伝える内容・次の行動を先に決め、制作と確認の範囲を相談することが出発点です。Narravのマンガ×マーケティング支援では、目的や媒体に合わせた漫画活用を案内しています。
よくある質問
問い合わせが多い質問は、すべて漫画にしたほうがよいですか?
いいえ。短く探せる回答は通常のFAQのほうが便利な場合があります。場面や手順、判断の背景を見せる必要がある質問を候補にし、利用者が答えへたどり着きやすい形式を選びます。
質問が少ない新サービスでもFAQ漫画を作れますか?
作ること自体はできますが、実際の問い合わせ記録が少ない場合は、利用者の疑問を社内だけで決めつけないことが大切です。営業・サポート担当への聞き取りや利用者テストで確認し、まず通常のFAQとして出す選択肢も検討してください。
漫画の中に料金や条件を書いてもよいですか?
必要な場合は、所管部署が確認した最新の内容だけを記載します。変更頻度が高い情報は公式ページへ分け、漫画から正しい情報へ移動できるようにすると、更新時の確認箇所を整理しやすくなります。
参考情報
- 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「マンガでわかる製造分野DX FAQ編52件」(FAQを漫画形式で紹介する公開資料の例)