
企業漫画の納品データは、JPGやPNGなどの拡張子だけで決めず、「どこに、どの大きさ・並び方で掲載するか」から仕様を整理します。Web・SNS・LP・印刷では必要な寸法やページ分割、色や入稿条件が異なり、編集可能な元データが標準で含まれるとも限りません。発注前に用途、ファイル仕様、元データの要否、検収方法を見積書や発注書に書き、完成後はその条件と照らして確認しましょう。
「納品形式」だけでは掲載できるか判断できない
「画像データで納品」と決めても、1枚の長い画像なのか、ページごとの画像なのか、印刷用の入稿データも必要なのかが曖昧だと、公開直前に書き出し直しや追加作業が発生することがあります。ファイルの拡張子は、成果物の使い方を決める項目の一つです。
文化庁の著作権契約マニュアルでも、創作を依頼する契約では、成果物の内容や納入方法、納品後の検査方法を具体化する考え方が示されています。漫画の技術仕様を一律に定める資料ではありませんが、「完成したら何を受け取り、どう確認するか」を先に合意する参考になります。
最初に決める5項目
- 掲載先:自社サイト、マンガLP、SNS広告、営業資料、冊子など、今回使う媒体を列挙します。
- 掲載サイズ:Webなら表示領域やスマートフォンでの見え方、印刷なら仕上がり寸法を確認します。媒体の仕様が更新されることもあるため、入稿先の最新ガイドを優先します。
- ページの分け方:見開き、ページ単位、コマ単位、縦長の連続画像など、実際の掲載・配布方法に合う構成を決めます。
- 必要なファイル:閲覧・掲載用の完成画像と、レイアウト調整に使う編集可能なデータを分けて考えます。元データや特定ソフト形式が必要なら、納品対象か、別料金か、後日の修正に使えるかを見積もり時に確認します。
- 確認・検収条件:誰が、いつまでに、どの状態を確認して完了とするかを決めます。修正対応の範囲や回数は契約・見積もりの条件に合わせて明記します。
掲載先ごとに確認するデータ仕様
| 用途 | 発注前に伝えること | 納品後の確認 |
|---|---|---|
| Web記事・サイト | 表示幅の目安、ページごと/縦長の別、画像形式、ファイル容量の目安、代替テキストや本文テキストの要否 | スマートフォンで文字が読めるか、画像が重すぎないか、ページ順とリンクが正しいか |
| SNS・Web広告 | 掲載する媒体と配置、必要な縦横比やサイズ、コマを分けた素材の要否、文字やロゴの安全領域 | 出稿時点の媒体規定に合うか、端が切れないか、広告文やリンク先と内容が一致するか |
| マンガLP | ページ単位かコマ単位か、スマートフォンでの並び、本文・見出し・CTAを画像と分けるか | 読順、文字サイズ、CTAの位置、画面幅ごとの表示を実機またはプレビューで確認 |
| 冊子・チラシなどの印刷 | 印刷会社、仕上がり寸法、ページ数、塗り足し・トンボ、色設定、指定されるPDF等の入稿仕様 | 印刷会社のチェックを通るか、断ち切りで文字や重要な絵が欠けないか、色校正や見本の確認方法 |
必要な拡張子や色設定は、制作会社・掲載媒体・印刷会社の環境によって変わります。「Webなら必ずこの形式」「印刷なら必ずこの解像度」と決めつけず、入稿先の仕様を制作側へ渡して適合する形を確認してください。印刷まで依頼する場合は、漫画制作会社と印刷会社のどちらが入稿データを作るかも分けておきます。
そのまま使える「納品仕様メモ」
見積もりを依頼するときは、次の項目を埋めて共有すると、各社の提案を同じ条件で比較しやすくなります。未定の項目は「相談して決める」と書き、制作側に確認したい点として残します。
- 使用目的・掲載先:Webサイト/LP/SNS/印刷物など
- 掲載・印刷サイズと、スマートフォン用の別書き出しの要否
- ページ数、ページ順、見開き・単ページ・縦長などの構成
- 必要な完成データ形式と、元データ・レイヤー付きデータの要否
- 印刷会社や媒体から指定された入稿ガイド・色・容量・ファイル条件
- ファイル名、フォルダ分け、最終版の識別方法
- 納品日、確認担当者、検収期限、修正の扱い
- 掲載媒体、期間、地域、改変・再利用の条件
最後の利用条件はファイル形式とは別の確認事項です。完成データを受け取ることと、あらゆる媒体で自由に使えることは同じではありません。利用媒体や改変、広告配信、将来の再編集については、企業漫画の利用範囲を整理するチェックリストも参考に、契約・見積もりで確認してください。
納品後は「開ける」だけでなく内容と掲載状態を検収する
- 受け取ったファイルが見積もり・仕様メモの一覧と一致し、すべて開ける。
- ページの抜け・重複・順番違いがなく、承認した最終稿と同じ内容である。
- 文字、数字、ロゴ、商品名、QRコード、URLに誤りがない。
- スマートフォン表示や印刷プレビューで、文字・顔・コマの端が切れていない。
- ファイル名に用途や版が分かる情報があり、旧版と最終版を取り違えない。
- 元データを受け取る契約なら、指定ソフトで開けるか、リンク画像やフォント等の不足がない。
- 公開ページへ実装する場合、画像の順番、代替テキスト、表示速度、CTAやリンク先を確認する。
修正が必要なときは、ファイル名とページ番号、該当箇所、希望する状態をまとめて連絡すると認識違いを減らせます。制作スケジュールに確認期間を組み込む方法は企業漫画の制作スケジュールと確認工程、LPの画像表示は漫画LPの画像最適化もあわせて確認できます。
よくある質問
漫画の納品はJPGだけでも問題ありませんか?
掲載先と使い方によります。完成画像をWebに掲載するだけなら足りる場合がありますが、印刷会社への入稿、後日のサイズ変更、コマ単位の再利用がある場合は追加データが必要になることがあります。用途を伝えたうえで制作会社と確認してください。
編集できる元データは納品に含まれますか?
契約や見積もりによって異なり、完成画像とは別扱いの場合があります。必要な場合は対象ファイル、編集できる範囲、追加費用、将来の修正・再利用条件を事前に確認します。
印刷用データの仕様は先に決める必要がありますか?
印刷を予定しているなら、印刷会社と仕上がりサイズ・入稿形式・塗り足し等の要件を先に確認するのが安全です。印刷会社が未定なら、その旨を制作会社へ伝え、後から変更できる範囲を見積もり時に相談してください。
Narravの漫画制作・活用支援
Web・LP・SNS・印刷物など複数の媒体で漫画を使う場合は、最初に利用先と必要な納品物を整理してから制作範囲を相談すると、後工程との行き違いを防ぎやすくなります。媒体に合わせた漫画制作や活用方法を検討する方は、Narravのマンガ×マーケティングサービスをご覧ください。利用媒体や納品仕様が未定の場合も、相談時にそのまま伝えて整理できます。