漫画マニュアルの作り方|既存の手順書を漫画にする6ステップのイメージ

漫画マニュアルは、手順書の文章をそのままコマに分けるのではなく、対象の作業を一つに絞り、正本となる手順を確認したうえで「何をするか・どこで判断するか・どう確かめるか」を場面に置き換えて作ります。細かい数値や変わりやすい条件は読み取れる文字や正式文書に残し、現場の人が実際に使えるかを確認してから公開します。

漫画にする範囲を、最初に小さく決める

分厚い業務マニュアル全体を一度に漫画化しようとすると、対象者も目的も広がり、重要な判断が埋もれがちです。最初は「新人が申請を完了する」「担当者が受付内容を確認する」など、始まりと終わりを説明できる一つの作業を選びます。

候補を選ぶときは、担当者から繰り返し質問される、手順の分岐で迷いやすい、引き継ぎ時に説明が必要、といった観察できる困りごとを使います。頻度やミスの件数を根拠にする場合は、実際に確認した記録を用い、印象だけで数値を書かないようにします。

漫画マニュアルを作る6ステップ

  1. 読者・作業・使う場面を一つずつ定める: 対象者の経験、作業を始めるきっかけ、利用する場所や端末、読み終えた後にできてほしいことを短く書きます。「誰でも何でも分かる」ではなく、ひとつの具体的な作業に照準を合わせます。
  2. 正本と確認責任者を決める: 参照する手順書や規程の名称、版、更新日、管理部署を記録します。関連資料が複数ある場合は、どれを優先するかを担当部署に確認します。口頭の説明と文書が食い違うときは、漫画の脚本で埋め合わせず、公開前に正しい手順を確定します。
  3. 情報を「漫画で見せるもの」と「正確に残すもの」に分ける: 作業の順番、判断の理由、よくあるつまずきなど、状況と行動のつながりは場面にしやすい情報です。一方、細かな数値、長い一覧、頻繁に変わる画面表示、例外条件の全件などは、表・テキストや更新元の文書で管理するほうが確実な場合があります。漫画だけで網羅しようとせず、役割を分けます。
  4. 一工程ずつ、行動と判断を整理する: 元の手順を「開始条件」「担当者の行動」「確認する状態」「分岐・例外」「困ったときの連絡先」に分けます。分岐がある箇所は「もしAなら次へ、Bなら確認してから進む」のように書き、判断の根拠も正本に結び付けます。ここで曖昧な工程が見つかったら、先に運用担当へ確認します。
  5. 場面とコマに置き換えて、ラフで確認する: 読者が作業する場面から始め、必要な道具や画面、手元の動き、判断の目印を描きます。一つのコマに複数の操作を詰め込まず、次に何をすればよいか追える順に並べます。ラフ段階では絵の好みより、元資料と話の順序が一致しているかを優先して確認します。
  6. 担当者確認と現場の読み試しを行う: 手順の管理担当は事実と版を、現場の責任者は実際の作業との一致を、想定読者は迷わず次の工程へ進めるかを見ます。コメント窓口を一人に集約し、ページ・コマ、問題、理由、修正希望、根拠資料をそろえて返します。可能であれば、初めて読む人に漫画を使って作業の順序を説明してもらい、詰まった箇所を記録して直します。

作画前に使える「手順からコマへの整理表」

下書きを始める前に、手順書の各項目がどの場面に移るかを対応させます。以下は申請フォームを送る業務を想定した架空の例です。実際の社内手順や画面名として流用せず、自社の正本に置き換えてください。

元資料の工程漫画で見せる行動完了の確認分岐・例外確認元
申請区分を選ぶ担当者が選択肢を読み、自分の依頼内容と照合する対象の区分が選ばれている該当する区分がない場合は送信せず窓口に確認する社内申請手順の該当項目
必要項目を入力する入力欄を上から確認し、根拠資料を見ながら記入する必須欄の不足がない判断できない項目は推測で埋めない申請フォームの現行説明
送信後に受付状態を見る送信完了画面を確認し、受付番号を控える受付状態が表示されている完了表示がないときは二重送信の前に担当窓口へ確認する現行の運用担当への確認

この表は、脚本の根拠を追えるようにするための作業用メモです。完成した漫画だけで元資料を置き換える意図はありません。詳細な条件や最新の画面手順は、正本へのリンクや掲載場所を読者がすぐ開ける形で案内します。

公開前に確認するチェックリスト

  • 漫画化する対象業務と想定読者が一つに絞られている
  • 参照した手順書の版・更新日と、内容を確認した担当者が分かる
  • 作業の開始条件、行動、判断、完了確認が順番どおりにつながっている
  • 原資料にない条件・効果・数値を、分かりやすさのために追加していない
  • 例外時の相談先や、正式な手順を開くリンクが用意されている
  • 想定読者がラフまたは完成版を使い、迷う箇所を確認した
  • 改訂時に誰が正本と漫画の差分を確認するか決まっている

漫画だけで説明しないほうがよい内容

数値や条件が頻繁に変わる、分岐が多く例外の影響が大きい、作業の安全や法令に関わる、といった内容では、漫画を正式な手順書の代わりにしないでください。最新版の規程、画面、表などを正本として管理し、漫画は背景や判断の流れを理解する補助として使います。専門部署による確認が必要な項目は、公開前にその担当者へ回します。

公開場所には版や更新日、正本へのリンク、質問先を示し、手順が変わったときに古い漫画がそのまま参照されない運用も決めておきます。更新時の確認方法は漫画マニュアルの更新ルール、漫画・動画・文章の役割分担は教材の媒体を選ぶ記事で詳しく整理しています。

よくある質問

今ある手順書を、最初から最後まで全部漫画にする必要がありますか?

ありません。まず一つの作業や、読者が迷いやすい判断場面を選びます。細部を網羅する正本と、状況や行動の流れを伝える漫画の役割を分けると、更新先も明確になります。

数値や画面の操作はどう扱えばよいですか?

読者が正確に読み取る必要がある数値は、絵に埋め込まず読みやすい文字や表で示し、根拠となる正本と照合します。画面が変わりやすい場合は、画面を固定した漫画だけに頼らず、現行の操作手順へ案内してください。

現場で使えるかは、どう確認できますか?

想定読者に、説明を補わず漫画を読んでもらい、次の行動を順に説明または実行してもらいます。止まった箇所、質問、正本を探した箇所を記録し、内容の正確さと読みやすさを別々に確認します。

正本と漫画の役割を決めてから制作する

既存手順書から漫画マニュアルを作るときは、対象業務を絞り、根拠となる文書を固定し、行動・判断・確認を場面に置き換え、担当者と現場の読者で確かめる順に進めます。内容を分かりやすく見せることと、正式なルールを正確に保つことを両立できるよう、漫画の範囲と更新元を先に決めておきましょう。

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